人気ブログランキング | 話題のタグを見る

地熱発電に“脚光”

非鉄業界 温暖化・原油高で好機到来
群馬・草津で反対運動/高コストも課題
http://www.business-i.jp/news/top-page/topic/200808200007o.nwc地熱発電に“脚光” _e0113829_12212531.jpg地熱発電に“脚光” _e0113829_12213542.jpg

 地球温暖化防止と原油高騰で自然エネルギーが脚光を浴びるなか、地底から噴出する蒸気や熱水でタービンを回す「地熱発電」を普及させようと、非鉄業界が“熱”を上げている。群馬県の草津温泉で発電所の誘致計画に対し「温泉が枯渇する」と反対運動が起きるなど、地元の反対が普及の障害となってきたが、火山国・日本の純国産エネルギーを活用を促進する絶好の好機と判断。関係省庁に普及促進を働きかけるなどピーアール作戦を展開している。(飯田耕司、今井裕治)

 ≪積極PRで普及促進≫

 三菱マテリアルや三井金属などの非鉄は、鉱山開発のための地質調査や採掘のノウハウを活用し地熱発電事業を手がけている。

 業界団体の日本鉱業協会や自治体などで組織する鉱業政策促進懇談会は先月、「地熱エネルギー利用拡大による二酸化炭素(CO2)削減の促進」を盛り込んだ要望書を経済産業省と財務省、衆参両議長に提出した。

 鉱業協会は「地熱は資源小国の日本が豊富に持つ有効なエネルギー源」とメリットを訴える。

 国内の地熱発電は1966年に岩手県の松川発電所が初めて稼働。現在は非鉄のほか、東北、九州電力も参入し、全国21カ所にある。ただ、発電能力は計約53万キロワットと、小規模な原子力発電1基分しかない。

 海外では、米国が約253万キロワット、日本と同じ火山国のフィリピンも193万キロワットの発電能力を誇り、日本は大きく見劣りする。

 普及が進まないのは、メリットが多い一方で、それ以上に障害が山積しているためだ。

 最大のメリットは、地下深くの蒸気や熱水をそのまま利用するため、タービンを回すための蒸気を発生させるエネルギー源が不要なことだ。CO2も発生せず、環境負荷は低い。

 石油や石炭のように枯渇の心配もなく半永久的に利用が可能。風力や太陽光などの他の自然エネルギーとは異なり、天候に左右されないのも強みだ。

 ≪温泉枯渇は「誤解」≫

 最大の障害は地元の反対だ。地熱発電の適地のそばには必ずといっていいほど温泉街があり、その反対で計画が頓挫するという歴史を繰り返してきた。

 日本三大名湯の草津温泉(群馬県草津町)では、隣の嬬恋村が3月に出した報告書に地熱発電所の誘致計画を盛り込んだだけで反対運動が起き、先月には大規模な反対集会が開かれた。

 これに対し、鉱業協会などでは、地熱発電で温泉が枯渇するというのは「誤解」と訴える。ほとんどの発電所が、利用した熱水を再び地底に戻す循環方式を採用しているためだ。

 地元の反対以外にもハードルは多い。適地の火山周辺は国立公園に指定されているケースがほとんどで開発が制限され、「4、5年が必要な環境調査を含め事業化には15年程度かかる」(非鉄大手)という。

 高コストで採算が合わないことも弱点だ。山奥から電気を送る送電線の整備などで初期費用がかさむ。地下から蒸気や熱水をくみ上げるパイプも高温に加え、含有されている鉱物成分ですぐに痛んでしまい、毎年のように取り替える必要があり、維持費も高い。

 国の普及促進活動も整っていない。現在の新エネルギー利用特別措置(RPS)法では、2010年までに電力会社は発電量の1・6%を自然エネルギーで賄うことが義務づけられている。

 ところが、地熱発電については、「現在の発電所のほとんどを占める高温の蒸気や熱水をそのまま利用する方式は自然エネルギーとして認められない可能性が高い」(日本鉱業協会)という。

 障害が山積しているだけに関係業界は、普及には国の全面的なバックアップが不可欠と判断。自然環境に配慮した形での開発の迅速化やRPS法の対象に加えるなどの制度整備を働きかけていく。

 業界としても、メリットを広くピーアールすると同時に、「温泉が枯渇する」という誤解を解く取り組みなどを積極的に展開していく考えだ。

                   ◇

 ■強いアレルギー/頓挫の歴史繰り返す

 草津温泉では過去にも建設計画が持ち上がり、何度も反対運動が起きており、地熱発電へのアレルギーが強い。

 草津町役場では「地球環境に優しいクリーンエネルギーだということは十分認識しており、枯渇するというのは誤解だと主張する学者がいることも知っている。それでも観光産業が町の全産業の90%を占めており、枯渇すれば立ちゆかなくなる」(担当者)と、反対の理由を説明する。

 草津町議会でも今年の5月に九州、6月に東北の地熱発電所などで実地調査を行ったという。

 嬬恋村は現町長が選挙の公約で誘致を公約したことから、試掘を独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構に試掘を申請したもので、可能性を探る程度の計画だった。

 結局、申請は却下され、その後も進展はなく、思わぬ強い反発に戸惑っているのが実情のようだ。

【写真】三菱マテリアルが運営する大沼地熱発電所=秋田県鹿角市
by mo_gu_sa | 2008-08-20 10:00 | 温泉一般


<< 九重町飯田高原 ヒゴタイが開花 観光客2年連続で増 >>