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【地域のチカラ】観光資源は体験・学び(4)クラツー&JTB

http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200807100013a.nwc【地域のチカラ】観光資源は体験・学び(4)クラツー&JTB_e0113829_17525412.jpg

 □旅行会社の取り組み

 ■素材掘り起こし磨く

 旅行会社の中にも、産業観光を取り入れたツアーの商品化の動きが出てきた。旅行通販大手のクラブツーリズム(東京都新宿区)は、2006年6月に工場見学などを組み込んだ「大人の社会科見学ツアー」の販売を本格化。顧客の多くが産業観光の主なターゲットとされる団塊の世代であることも功を奏し、参加者は順調に伸びている。

 特に人気が高いのは、トヨタ自動車(愛知県豊田市)の組立工場見学などを組み込んだツアーだ。06年以降、すでに約1万1000人が同工場を見学。今年は7月中旬までに東京出発だけで前年同期比約1・5倍の2000人近い申し込みがあり、「大きな実績を上げ始めている」(総務部広報課の真柄徹課長)という。広島や九州など中部エリア以外でも産業観光ツアーを催行し、徐々にラインアップを拡充している。今後、さらに拡大するためには「ファミリーや女性向け素材を発掘し、『食』や『温泉』など従来型の旅行と組み合わせ、楽しみながら学べる旅として定着させなければならない」(真柄課長)。

 JTBは昨年、浜松市の知名度やイメージ向上のための活動を推進する「浜松・浜名湖プロモーション協議会」の認定事業として、「ものづくりの町浜松」を団体向けツアーとして商品化した。ヤマハのグランドピアノ工場や日本一の生産量を誇るガーベラの花摘み体験といった、浜松のものづくりに触れる内容から選択できる。

 ヤマハでは、最新の自動演奏技術で演奏者の音をよりリアルに再現する自動ピアノで好みの曲を演奏できるなど、JTBで申し込んだ見学者だけの“付加価値”がこだわり。中部国内商品事業部仕入販売部の青木大地課長は「同じ素材でも、より魅力的に演出する知恵が産業観光には重要」と語る。

 一方で、企業を訪問するため土日に催行できないことや、企業側の受け入れ態勢など常に一定の品質を維持することが困難であること、見学無料の施設が多く、収益ビジネスとなりにくいといった課題もあり、今のところ個人向けで産業観光と呼べるものはほとんどない。ただ、国内旅行ニーズの多様化と個人化に直面し、新しい旅行形態に活路を見いだしたい旅行会社にとって「今取り組まなければならない観光分野」(同大谷政道課長)であることは確かだ。

 JTBは、全国で観光素材の掘り起こしに乗り出している。たとえば昨年、焼き物の街である佐賀県唐津市の「唐津観光協会」がツアーの開発・販売、ガイド育成のために立ち上げた「ATA(エリア・ツーリズム・エージェンシー)事業部」に、JTB九州が参加。今年4月には、全国の地域会社に地域コンテンツ開発担当を配置し、同様の取り組みを強化している。「地域の本当にいいものを掘り起こし磨き上げれば、観光客の滞在時間が伸び連泊が増え、地域での消費額も増える。旅行会社と地域でwin-winの関係を築ける」(旅行事業本部地域交流ビジネス推進室の渡部英之マネージャー)。

 地域活性の切り札となる上、交通手段など新しいインフラ整備が伴うため、地域行政が主導してきた産業観光。観光素材の商品化や情報発信、観光客を誘致するためにも、旅行会社の役割が増すのはこれからだ。(門倉千賀子)

【写真】見るだけでなく、実際に体験できるのが産業観光のおもしろさ。写真はJTBの体験プログラムで陶芸を楽しむ女性ら
by mo_gu_sa | 2008-07-10 10:15 | 温泉一般


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