http://mainichi.jp/area/kumamoto/archive/news/2008/03/28/20080328ddlk43040666000c.html
◇関係者、郷土に作品残り感謝 阿蘇・小国町出身の画家、坂本善三(1911-1987)の壁画「阿蘇」が、熊本市の桜十字病院(西川通子理事長)の新病棟ロビーに展示されることになった。20年以上も展示場が見つからなかった大作で、披露された27日は坂本の長男、阿蘇彦さん(63)が駆けつけ「展示が決まり感謝しています」と喜んだ。 坂本は「グレーの画家」「東洋の寡黙」と称される抽象画家として活躍した。「阿蘇」は59年の作品で、雄大な五岳や馬を織り込みながら描いた縦約1・8メートル、横約5メートルの抽象画。夏目漱石や与謝野晶子も訪れた南阿蘇村・戸下温泉の老舗旅館、碧翠楼に壁画として飾られた。 しかし立野ダムの建設に伴い、碧翠楼は84年に閉鎖された。旅館は移転計画があったが立ち消えになり、絵も展示場所を失った。 坂本と親交があり、絵を購入した熊本市の古美術商、柳井理生(まさたか)さん(71)が、県内で展示場所を探したが、大作のため適当な場所が見つからないまま20年以上が過ぎた。東京の美術館から購入申し出もあったが、柳井さんは「具象画から抽象画へ作風が変わって行く転機の作品。熊本に残しておきたい」と断ったという。 この話を知った病院の西川理事長が「郷土の画伯の絵を眠らせておくのはもったいない。大勢の人に見てほしい」と購入を決めた。壁画を飾るために、新病棟のロビーに当初は計画になかった展示用の壁を設けた。 「阿蘇を題材にした大きな作品を依頼され、張り切って描いていた父の姿を覚えている」と話す阿蘇彦さんは「もう展示は難しいと思っていたのでうれしい」と笑顔だった。【伊藤奈々恵】 毎日新聞 2008年3月28日 地方版
by mo_gu_sa
| 2008-03-28 17:04
| 熊本
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