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新幹線物語:3月12日・全線開業/5 アイス開発 /鹿児島

http://mainichi.jp/area/kagoshima/archive/news/2011/01/07/20110107ddlk46040582000c.html

 ◇味の改良に余念なく

 乳牛約300頭を飼育する熊本市戸島町の富田牧場。富田裕美さん(45)は毎夕、夫正司さん(45)と一緒に搾乳室に入り、牛に手際よく搾乳機を取り付けていく。結婚した当初は牛が怖くて餌も満足にやれなかった。「アイスを作るようになってから、いいお乳を出してねって以前より強く思うようになりました」

 06年、牛乳の消費低迷で全国的に生産調整が行われ、大量の牛乳が産業廃棄物として捨てられた。「また同じことが起きたら捨てるしかないのだろうか」。悪循環を断ち切りたいという思いで「くまもと市ミルク夢工房・リバージュ」を設立し、ソフトクリームの加工・販売を始めた。

 結婚前は看護師として働き、酪農とは縁がなかった。結婚して牛の世話という慣れない仕事に家事、3人の子どもの世話に追われ、気がつけばあっという間に40代。「自分の存在を証明するものがほしい」。そんな思いが抑えきれなくなっていた。周りには不況下での挑戦を疑問視する声もあったが、がむしゃらに走り続けた。その後、国の天然記念物に指定されている水前寺のりなど地元農産物を使ったアイスクリームを開発。その独自性が認められ、昨年8月に県と市が支援する九州新幹線のお土産開発事業に選ばれた。

 現在改良を進めているのは、メロンや桜(馬)コラーゲンなど6種類。富田さんは無香料、無着色にこだわり、トッピング方法を料理専門家に相談するなど徹底して調べ、商品開発に余念がない。「酪農家の作るアイスはうそをつかないと言ってもらいたい。とにかく動いていろんな人の知恵を借りながら作っています」と話す。

 「リバージュ」はモータースポーツのF1ファンの正司さんが、モナコのレースコースにある上り坂にちなんで名付けた。「『あなたが歩く道は険しいからこれにするといい』と言われて。新幹線は大きなチャンス。たくさんの人に食べてもらえるよう頑張ります」【澤本麻里子】=つづく

毎日新聞 2011年1月7日 地方版
by mo_gu_sa | 2011-01-07 00:00 | 鹿児島


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