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循環型社会目指して 議論 集う環境自治体ちっご会議

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 筑後、大川両市と大木町の14会場で計19の分科会が開かれた27日の「第18回環境自治体会議ちっご会議」2日目。循環型社会の実現に向けた議論は、《ごみ問題》《脱温暖化》《地域の自然》《食と農》と多岐にわたったが、地球規模の環境破壊も、日々の暮らしの無駄遣いも、先人の知恵に学び、自然を慈しみ、大地の恵みに感謝することで解決できる‐。参加者にとっては、そんな「気づきの場」となった。

循環型社会目指して 議論 集う環境自治体ちっご会議_e0113829_1618241.jpg■「生命の源」に拍手

 筑後市の船小屋温泉では「水と緑と命のつどい」をテーマにした分科会があり、約50人が参加。矢部川流域を歩いて地域住民の生活と豊かな自然とのかかわりを学び、未来に向けた町づくりの提言をまとめた。

 分科会ではまず、パネリスト4人が矢部川を紹介。上流域の八女市黒木町で進む里山保全の取り組み、中流域の南岸に広がるクスノキ林の由来、川周辺に息づく多様な動植物などを説明した。

 フィールドワークは、4グループに分かれて行われ、参加者は巨大なクスノキが茂る中之島公園の散策やバードウオッチングを堪能。炭酸含有量日本一の「長田鉱泉」の試飲や、全国で1軒だけ残る天然樟脳(しょうのう)の製造工場「内野樟脳」の見学を通じ、自然の恵みを生かした地域の営みに触れた。

 最後に「水」「緑」「命」をテーマに各グループが発表。「中之島公園は川沿いの公園だから、遊具の整備などより自然の生き物にやさしい公園になれば」「あふれる緑と清らかな水は受け継がれる生命の源だ」などとまとめ、会場から賛同の拍手があがっていた。

【写真】天然樟脳の製造工場を見学するフィールドワーク参加者

循環型社会目指して 議論 集う環境自治体ちっご会議_e0113829_1619265.jpg■生ごみ堆肥化推進

 生ごみの資源化が話し合われた第4分科会では、全国の先進事例として知られる山形県長井市の「レインボープラン」を推進する菅野芳秀さんの活動報告や、大木町の循環センター「くるるん」の見学が行われた。

 レインボープランとは、市民の生ごみを堆肥(たいひ)化して農家が買い取り、それで育てた農産物が市民に戻るという循環システム。市中心部の5千世帯から年1200トンの生ごみを回収し、年450トンの堆肥を作っている。

 生ごみから作った堆肥は軽く、高齢農家も使いやすいという。「生ごみが私たちをとてつもなく豊かにしてくれた」と菅野さん。生ごみを地域の中心に据えた循環型社会の実現を訴えた。

 会場との質疑応答では「人ぷんを使った堆肥の場合、風評被害は大丈夫か」「堆肥化と自治体の規模は関係あるのか」などの質問や意見が相次ぎ、関心の高さがうかがえた。飛び入り参加した大川市の植木光治市長が「くるるんに余裕があるなら、大川から生ごみを受け入れてもらえたら」と、自治体を超えた取り組みに期待する場面もあった。

【写真】大木町の循環センター「くるるん」を見学する参加者

循環型社会目指して 議論 集う環境自治体ちっご会議_e0113829_16213327.jpg■「九州一 菜の花産地に」

 大木町子育て交流センターでは、菜の花を柱にした循環社会の取り組みを考える分科会「活性化! 菜の花で地域をつなぐ」を開催。生産者や製油、流通業者らが今後の課題などを話し合った。

 菜の花は休耕田などで栽培でき、花は観光客を呼び込み、養蜂(ようほう)にも利用可能。菜種油製造時の油かすは肥料などに使われ、廃油もせっけんや燃料として利用が進むなど、循環社会をめざす「菜の花プロジェクト」が各地で広がっている。

 分科会では6人が話題提供者として登壇。2年前から菜の花を栽培、無添加の菜種油「環のかおり」を販売する大木菜種生産組合の今村利光代表は「栽培で人の和、循環の環、経済の輪が広がった。九州一の産地を目指したい」と述べた。

 続くシンポジウムでは、油の国内消費が減っている現状や、種から直接車に使える燃料を作るヨーロッパの先進例などを紹介。「地域の人たちが地域をつくるために動くことが大切。菜の花もその一例で、環境保護に取り組む自治体と共同で新しい日本の仕組みをつくってほしい」とまとめた。

【写真】菜の花を活用した環境保護の取り組みを紹介する分科会参加者

循環型社会目指して 議論 集う環境自治体ちっご会議_e0113829_16222735.jpg■掘割が担う役割学ぶ

 大川市文化センターでは「ちっご掘割物語‐掘割の優れた機能を検証する」と題した分科会。フィールドワークや水問題に取り組む市民グループの活動報告を通して、大木町や大川、柳川両市に広がるクリーク・掘割の役割を学んだ。

 掘割の機能や成り立ち、矢部川の水をめぐる久留米藩と柳河藩の「水争い」の歴史などを資料映像で学んだ後、柳川市へ。市中心部の川下りを1時間余り体験した。

 どんこ舟の上では、柳川市の「水の会」のメンバーが、観光面以外にも、旧柳河城を囲む要害として建設された経緯や、農業・防火用水としての役割、V字形の橋を利用して水量を上手に調節する「もたせ」など、掘割が担う多面的な機能について説明した。

 金沢市の団体役員桑原豊さん(64)は「水や風の音を楽しみながら、穏やかな時間を過ごせました」。大木町の冨安斗(はかる)さん(76)も「風流で落ち着く。騒がしさから開放されました」と話した。

 川下りの後、「水の会」や大木町の「堀と自然を守る会」などの活動報告もあった。

【写真】川下りのフィールドワークを終えた参加者たち

=2010/05/28付 西日本新聞朝刊=
by mo_gu_sa | 2010-05-28 02:04 | 福岡


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