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【from Editor】暴力のない「よかとこ」へ

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100410/crm1004100759004-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100410/crm1004100759004-n2.htm

 「福岡はよかとこでしょう」

 福岡に着任して、多くのひとからそう言われる。この自信はどこから来るのかと思うほどだが、私も実際そう感じる。食べ物がうまい。温泉が近い。風景が良い。交通の便が良く、通勤時間は10分で済む。何よりもフレンドリーな人が多い。だから、会う人に「福岡は良いところですね」と、つい話してしまう。

 ところが、「福岡は決して良い街ではありません」と言い返してきた人がいる。福岡県警察本部長の田中法昌氏。「5つの指定暴力団の本拠が福岡県にあり、全国一です」といわれた。発砲事件は平成20年まで5年連続で全国最多。大手自動車メーカー工場に爆発物が投げ込まれる事件もあった。

 4月1日、福岡県暴力団排除条例が施行された。暴力団を利用しようとして組員らに利益供与した事業者に対して1年以下の懲役か50万円以下の罰則を設けた。全国で初めての試みだ。暴力団に「みかじめ料」を支払えば県公安委員会が勧告し、従わなければ事業者名を公表する。暴力団に会合場所を提供したり、代紋入りの名刺を印刷したりするのも禁じた。

 時を同じくして、北九州市小倉南区で指定暴力団工藤会の新事務所設置撤去運動を進める地元住民宅への銃撃事件などがあって、暴力団排除に向けた決起集会が繰り返されている。日に日に参加者も増え、3月30日の集会は1800人にのぼった。会場は暴力団事務所近くの小学校が使われ、参加者には子供を持つ親の世代も目立つ。福岡県の麻生渡知事も駆けつけ「暴力団の資金源を断つ法的手段を整備した。先頭に立って工藤会を壊滅させる」と述べた。

 暴力団追放に向けて、多くのメディアが連日、この集会や条例を大きく取り上げている。新聞の見出しは「暴排」「暴追」で認知されるようになり、この二文字が載らない日はないほどだ。

 福岡県各地で集会が開かれ、暴力団追放の機運の高まりを感じる。しかし、一方で現実は厳しい。警察は「暴追運動に携わる市民を全力で守る」というが、「警察が来るまえに撃たれたらどうするのか」との不安の声も多い。

 この取り組みが尻すぼみとなり、「暴力団の街」との印象が残れば、人は集まらなくなり、企業誘致もままならない。福岡が暴力団追放運動の先進県になれるかどうか。新聞の見出しから「暴追」の二文字がなくなる日が来ることを期待したい。(九州総局長 廣瀬千秋)
by mo_gu_sa | 2010-04-10 07:59 | 福岡


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