人気ブログランキング |

天草・下田温泉街 湯、食、夕日に癒やされて

http://kyushu.yomiuri.co.jp/entame/onsen/info43/in_43_09120901.htm
e0113829_15495876.jpge0113829_1550999.jpg

 天草灘に面した天草市天草町の下田温泉は、良質の湯、豊かな食材、美しい夕日を生かした観光振興に取り組んでいる。湯煙が恋しくなる季節を迎えた温泉街に足を運んだ。

 山里の景色を楽しみながら車を走らせると、「下田温泉」と書かれた高さ約5メートルのゲートが見えてきた。その向こうには、天草灘に向かって500メートルほど道が伸び、約10軒の旅館が立ち並ぶ。街に寄り添うように流れる下津深江川の水は澄み、せせらぎの優しい音色を響かせていた。

 観光交流施設「下田温泉ふれあい館ぷらっと」に立ち寄った。レトロ調の木造建築が街の景色に溶け込んでいる。「こんにちは」。職員の田中マキさん(29)の元気な声が響いた。「楽しい思い出を演出したい」と常に明るい接客を心掛けているという。

 街の案内図をもらって外に出ると、目の前の足湯「下田温泉五足の湯」からにぎやかな声が聞こえてきた。集客につなげようと昨年整備し、名称は1907年、下田を訪れた与謝野鉄幹や北原白秋らがつづった紀行文「五足の靴」にちなんでいる。冷えた足を湯につけると体全体にぬくもりが染み渡る。苓北町から週3回訪れるという松村ミヤコさん(80)は「この湯はひざの痛みを和らげてくれると。無料でありがたか」。夫の徳美さん(80)も「初めて会う人と会話するのが楽しみ」と笑顔を見せた。横には足の裏のつぼを刺激する小石の散歩道もある。

 昼時、「下田温泉センター白鷺館」に多くの人が出入りしていた。湯と料理を目当てに年間約16万人が利用するという。館長の永田文明さん(59)はこの秋から、料理に使った色鮮やかなヒオウギガイの貝殻を近隣の旅館に配布。宿泊客は願い事を書き、下田温泉神社に絵馬として飾るようになった。

 幸運を招く生き神様もいると聞き「ジャルディンマール望洋閣」を訪ねた。白い毛が珍しいイノシシの「ジャル君」だ。8年前に庭に迷い込んで居着き、客の出迎えと見送りをするイノシシとして人気者に。今は、神社に見立てたオリで過ごし、観光客が手を合わせる。名前を呼ぶと「ブヒー」と返事をすることも。

 「県域を越えて観光客を呼び込みたい」と話すのは望洋閣の藤本貴士専務(35)。同温泉旅館組合の副組合長を務めており、今年、雲仙天草地域が観光庁の観光圏に認定されたことを受け、近く雲仙と下田の連泊型旅行商品を売り出す予定だ。

 食では、天草灘の旬の味覚・伊勢エビがお得な料金で味わえるプランがお薦めだ。プリプリとした食感と上品な甘みに舌鼓を打った。今月からは新たな試みとして、オコゼ料理キャンペーンも始まった。

 夕方、近くの鬼海ヶ浦に向かった。日本の夕日百選に選ばれた天草西海岸の中でも絶景ポイントで、展望所が整備されている。澄んだ空気の中、雄大な天草灘に沈む夕日の美しさに息をのんだ。夜はさっぱりとした肌触りの名湯で癒やされた。体の芯から温まり、湯冷めしないと評判だ。

 「ちょっと遠いけど、足を延ばして来てよかった」――。身も心も温まり、下田の魅力を実感した。

 下田温泉 約700年の歴史を誇るかけ流しの天然温泉。その昔、1羽のシラサギが下津深江川に降り立ち、川底からわき出る温泉で傷ついた足を癒やしたと伝えられ、別名「白鷺(しらさぎ)温泉」とも呼ばれる。1963年に環境省の国民保養温泉地に指定。泉質はナトリウム炭酸水素塩・塩化物泉で無色無臭。切り傷ややけど、関節痛などに効能があるとされる。

【写真】「下田温泉」の看板が掲げられた温泉街。右側の建物は「下田温泉ふれあい館ぷらっと」

(2009年12月9日 読売新聞)
by mo_gu_sa | 2009-12-09 00:00 | 熊本


<< ひらまつ病院に新健保施設 “黄... 再建進む「古湯」 安全祈り上棟... >>