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ニュース裏おもて:開業20年のくま川鉄道 赤字続きで基金減少 /熊本

http://mainichi.jp/area/kumamoto/news/20090626ddlk43020339000c.html

 観光列車「KUMA」の運行、駅の観光地化や命名権の募集--。近年、第三セクター「くま川鉄道」(人吉温泉-湯前間)の積極的な施策が目立つが、沿線の少子高齢化の波には逆らえず、経営はじり貧状態が続く。89年の開業以来、赤字を補てんしてきた基金も3年後に枯渇する。存続には財政支援が必至で、財政難の沿線自治体にとって悩みの種となっている。【高橋克哉】

 ◇自治体「将来像」を模索
 ■利用者4割減

 6月上旬の週末「SL人吉」(定員132人)が満員の乗客を乗せて人吉駅に到着すると、くま川鉄道の観光列車「KUMA」に十数人が乗り換えた。同社会長の田中信孝人吉市長は「九州新幹線が全線開業後の3年後までに、知名度を高めたい」とさらなる乗客増に期待する。だが08年に社長に就任した民間出身の厚地洋一社長は「週末のSL客全員がくま川鉄道に乗り換えても赤字は解消されない。抜本的な経営改善が必要だ」と話す。

 厚地社長が危機感を強める理由の一つが、赤字補てん用の「交通体系整備基金」の減少にある。同社は89年にJR湯前線を引き継いだ際、国からの転換交付金や自治体の補助金など計5億6000万円を原資に基金を設立した。預貯金利息を赤字補てんに充てる予定だったが、バブル崩壊後の低金利で計画は破綻(はたん)し、不足分を元本の取り崩しで補わざるを得なかった。

 一方、少子化で乗客の8割を占める高校生が減少し、08年度の利用客は開業時の4割減の82万5981人にまで落ち込んだ。08年度は開業以来19年連続の営業赤字で、老朽化した車両の補修費用などもかさみ計9400万円の不足金が発生。全額を基金から充てた結果、取り崩し可能な基金残高は1億9000万円に目減りした。九州新幹線が全通し、沿線観光客の増加が見込まれる3年後に基金がなくなる計算だ。

 ■「上下分離」案

 同社は、利用客の大幅な増加が見込めなければ、数年間は年間9000万円程度の補てんが必要と見込む。不足分を運賃収入で補おうとすれば、人吉-湯前間(大人680円)の乗客を列車1本につき13人ずつ増やす必要がある。主力客の高校生が減少し続ける状況では至難の業だ。

 厚地社長は、鉄道施設を自治体が保有する「上下分離方式」を提案する。整備新幹線の開業で各地の並行在来線が第三セクターに移管した際に採用された。鉄道会社は保線費用や固定資産税の支払いが不要になり、経営が身軽になる。ただ「営業努力で黒字決算が可能になり、社員のやる気が引き出せる」(厚地社長)メリットはあるものの、「上下分離」は自治体の負担が増し、抜本的な解決策とはいえない。

 ■バスとの二重投資

 さらに沿線自治体は路線バスにも補助金を出しており、人吉球磨地方の10市町村の補助金は全路線で年間1億7000万円に上る。二重投資を避けるため効率的な公共交通のあり方を検討する目的で4月に「人吉・球磨地域公共交通活性化協議会」が発足した。目標は「くま川鉄道を軸とした公共交通網の再編」で、鉄道の存続が前提になっている。

 くま川鉄道の22日の定時株主総会で首長の間から「財政難の折、鉄道とバスの両方に補助するのは厳しい。どちらかに絞るよう議論する必要がある」(森本完一錦町長)との声も上がったが、株主間では「高校生の通学手段であるくま川鉄道は何とか残したい」(田中市長)との意見が大半を占めた。

 協議会は年度内に「あるべき姿」をまとめる方針で、鉄道かバスのどちらかを廃止するか、二重投資を続けるのか、各自治体に判断が迫られる。

毎日新聞 2009年6月26日 地方版
by mo_gu_sa | 2009-06-26 00:00 | 熊本


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