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【別府新聞】地獄めぐり魅力再発見

http://www.oita-press.co.jp/localNews/2009_124581005806.html【別府新聞】地獄めぐり魅力再発見_e0113829_23221718.jpg

 別府観光に欠かせない「地獄めぐり」。鶴見岳の噴火により地獄が誕生したのは約1200年前とされ、観光客を集めだしたのは明治時代から。独特の色彩や美しさから「海」「血の池」「龍巻」「白池」の四つの地獄は近く国の名勝に指定されることになった。日本の宝となることに合わせ、各地獄の“隠れた魅力”を一挙紹介。古くて新しい別府の地獄をお楽しみください。

●血の池地獄 

新旧ずらり“赤”丸の土産

 長い歴史を誇る。最古の記録は8世紀の豊後国風土記で、「湯の色は赤くして泥あり。用いて屋の柱を塗るに足る」とある。
 独特の赤い色は、地下から噴出する酸化鉄や硫化マグネシウムを含む泥による。強い酸性で、十円硬貨を浸すとぴかぴかになる。
 赤い熱泥にちなむ新旧さまざまな土産物が、約300平方メートルの土産売り場に並ぶ。戦前から受け継がれる血の池軟膏(なんこう)は、熱泥にワセリンなどを混ぜた皮膚病薬。最も新しいのは「赤プリン」で、昨年発売された。
 工藤昌文専務は「赤ワインのジュレ(柔らかいゼリー)を載せ、血の池地獄をイメージした」と話す。上品な味わいで、血の池の新たな“顔”になっている。
 【データ】池の面積約1300平方メートル、深さ約30メートル(粘土のため最深部は不明)、泉温約78度。TEL0120・459・554。

●坊主地獄 

熱泥と森林、見事な調和

 約500年前に大地震が起こり、延内寺の床下から熱泥が噴き上げた。寺と住職が姿を消したことから、坊主(ぼうず)地獄と呼ばれるようになった。
 県の天然記念物で、「自然との調和」がモットー。「ありのままの自然の美しさを見てもらいたい」と総務部長の甲斐正浩さん(27)。緑輝く森林を背景に、灰色の熱泥がぽこぽこと沸き上がる。
 【データ】鉱泥を利用した温泉が隣接している。神経痛や高血圧、糖尿病などに効く。TEL0977・66・1581。

●鬼石坊主地獄 

高温で一気「蒸し寿司」

 せいろで蒸すこと15分。「蒸し寿司(ずし)」が出来上がった。
 売店「こびり」にはタコ入りの「蒸しの足」と、アナゴ入りの「蒸しの穴」がある。「蒸しの足」は弁当のふたを開けると、湯気が立ち上り、タコの足が姿を現した。「高温で一気に蒸すので、タコがとても軟らかいですよ」と、鬼石坊主(ぼうず)地獄を運営する別府観光産業の柳川智哉次長(33)。
 【データ】泉温98度。ナトリウム塩化物泉。TEL0977・27・6655。「鬼石の湯」はTEL0977・27・6656。

●龍巻地獄 

噴出待つ間も楽しめる

 1923年11月6日午後3時、別府市野田の温泉採掘現場で、大音響とともに地上約14メートルまで熱湯が噴き上がった。当時の新聞は「付近は人山を築き大混雑。田畑は湯の海と化し一大壮観」と報じた。
 土地所有者の伊藤初治さん=故人=は柑橘(かんきつ)農家。2代目の勝基さん(龍巻地獄会長)は、間欠泉裏手の山に遊歩道を敷き、ワシントニアパームやツツジを植えた。3代目の秀憲社長は2年前、代々受け継ぐ農園の晩白柚(ばんぺいゆ)やミカンで作ったカップアイスを売り出した。
 秀憲社長は「間欠泉の噴出を待っている間も楽しめる観光地にしたい」。
 【データ】地中にたまった150度の含食塩酸性泉が、圧力の高まりによって30~40分に1回、地上に6~10分噴出する。カップアイスにはゴボウ、カマンベールなどもある。TEL0977・66・1854。

●かまど地獄

飲泉に足湯「極楽、極楽」

 熱泥地獄の1、4、6丁目、岩間から蒸気が噴く2丁目、青白い湯をたたえた3、5丁目。敷地内に3種類の地獄が密集し、それぞれ丁目表示している。
 3年前、地獄で唯一の飲泉場や足湯、顔スチームを並べた「極楽1~3丁目」ができた。「地獄めぐりエリアの中間に位置するので、休憩地点になるよう設備を整えた」と、宇都宮貴営業部長。
 温泉卵は通称ピータン。昔、氏神である竈戸(かまど)神社に供えるご飯を炊いたという噴気で蒸し、白身が茶色い。しょうゆで食べると“極楽”。
 【データ】泉温はそれぞれ80~100度。3丁目の湯を引いた温泉もある。TEL0977・67・3171。

●海地獄 

変わらぬ味、温泉ゆで卵

 “地獄の味”の代表格といえば「温泉ゆで卵」。80個をかごに入れ、98度の湯に6分ほど漬けて作る変わらない味だ。
 殻をむくと、ぷりぷりの白身が姿を現す。「硬めではなく、半熟でもない。その中間で食べやすいですよ」と営業課長の手嶋浩文さん(48)。塩やしょうゆ、マヨネーズを付けたりと食べ方はさまざまだが、「まずは何も付けず、そのまま味わってみてください」と胸を張った。
 温泉は涼しそうなコバルトブルー。「中に入れると勘違いし、おけとタオルを持って来た人もいます。硫酸鉄の青は、心が和む色。漬かることはできませんが、多くの人に楽しんでもらえるよう、心を込めて手入れをしています」と話した。
 【データ】卵は5個入りで300円。TEL0977・66・0121。

●山地獄

食欲旺盛なカバの昭平

 僕はカバの昭平。30度ほどの温泉の中で、一日中ゆったりと過ごしています。
 人間でいうと42歳ぐらいだけど、まだまだ食べ盛り。大好物はバレイショ。1日50キロはぺろりと食べるよ。お客さんが投げ入れてくれるから、口を大きく開けて待っています。カメラを落としてしまう人がいるけど、食べ物と間違うので気を付けてね。(通訳は支配人の阿部靖博さん)
 【データ】泉温90度。温泉熱を使い、ゾウやサルなど17種類の動物を飼育している。TEL0977・66・0647。

●鬼山地獄

ワニ約80頭、豪快な食事

 熱帯のワニ約80頭を飼育し、ワニ地獄ともいう。1925年、初代経営者がシンガポールでワニの赤ちゃんを買い付け、温泉熱を利用して飼ったのが始まり。
 飼育員の山口竜佑さん(21)は、すべてのワニに名前を付け、健康管理をしている。「ワニ同士でけんかして顔が変形し、識別に迷うこともある」と苦笑する。
 餌やりの場面を公開している。飼育員が鶏肉や馬肉を放ると、ワニが大口を開けてジャンプする。
 【データ】泉温は99・1度。餌やりは水曜午前10時、土・日曜は午前10時、午後2時半の各2回。TEL0977・67・1500。

●白池地獄 

癒やされる“和風庭園”

 聞こえるのは小鳥のさえずり、目に入るのは青々と生い茂った樹木―。「地獄という名の響きとは違って、緑と静寂に包まれているのが魅力」と加藤泰之代表社員(47)。
 青白色の池を取り囲むようにツツジやツバキの花が咲き誇り、松や竹、シイノキなどの緑が優しく包み込む。県指定有形文化財の国東塔、向原石幢(せきどう)もあり、小川のせせらぎが心を和ませる。「地獄の“和風庭園”で自然の驚異とともに、癒やしを体感できます」
 園内には温泉熱を利用した「熱帯魚館」も。肉食魚ピラニアや世界最大の淡水魚ピラルク、古代魚アロワナなど約10種類を楽しむことができる。
 【データ】泉温95度。含ホウ酸食塩泉。噴出時は無色だが、温度と圧力の低下で青白色を帯びてくる。郷土美術を展示する「二豊南画堂」もある。TEL0977・66・0530。

「もっと堪能してもらいたい」

 ♪山の中なる海地獄 みどり滴る絶壁を 背景とせる谷あいに 深くたたえし熱湯は 色瀬戸内の海に似て そのものすごさ美しさ たぐいまれなる定評の 別府名所でございます―。
 1928年から地獄めぐりの定期観光バスを運行する亀の井バス(別府市)。戦後途絶えていた七五調の観光案内を98年に復活させるなど力を入れている。
 バスガイド歴20年の永森美智代さん(47)=同市秋葉町=は「別府は豊富な湯量と泉質を誇る。地獄はそれを目の当たりにできる場所」と魅力を語る。
 名勝指定が決まり、客足も増えているという。「どの地獄も趣向を凝らし、子どもからお年寄りまで楽しめる。多くの人に来てもらい、別府をもっと堪能してもらいたい」

■動画がご覧になれます。http://www.oitatv.com/
by mo_gu_sa | 2009-06-24 11:13 | 大分


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