ぬるくなくて温かい「炭酸泉」実現へ…九州大など技術開発

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 かつて湯治客でにぎわった船小屋温泉(福岡県筑後、みやま両市)のお湯を使い、九州大と筑後商工会議所(同県筑後市)が温かい炭酸泉を作る技術開発に乗り出した。

 炭酸泉は血行を良くする効果などがあるとされるが、高温の湯では炭酸ガスが気化しやすいため、ぬるいのが一般的。早ければ今秋にも浴場での実験を始め、温泉郷の復活につなげたい考えだ。

 筑後市などによると、船小屋温泉は江戸時代末期に見つかり、日露戦争時に陸軍の転地療養所に指定されるなど傷の治りが早い温泉として知られた。飛んでいるスズメが炭酸ガスで落ちて死んだという言い伝えがあるほどで、「雀(すずめ)地獄」とも呼ばれた。戦後の最盛期には矢部川を挟み、約60の旅館が軒を連ねた。

 当時の炭酸泉の温度や詳しい使い方の記録は残っていないが、近年はボイラーで急激に湯温を上げるため、炭酸ガスがほとんど気化。本来の効能を得られなくなった。次第に客足は減り、今では5軒の旅館が残るだけとなっている。

 このため、九州大と筑後商工会議所は、温めた砂を入れたパイプの中に炭酸泉を通し、じっくりと加熱する方法の研究に着手。九州大の柳謙一客員教授(伝熱学)によると、40度まで上昇させた場合、ボイラーを使った場合はほとんど残らない炭酸ガスを、この方法だと理論上、1リットル中に最大1100ミリ・グラムまで含ませることができるという。

 久留米高専の伊藤義文・生物応用化学科長らが5月に船小屋温泉の井戸で行った調査では、炭酸泉1リットル中平均1230ミリ・グラムの炭酸ガスを確認。源泉なら1800ミリ・グラム程度のガスがあるとみている。今秋にも簡易浴場を作り、装置を使って加熱した湯を入れて実験するという。

 柳客員教授は「ボイラーではパイプの表面が高温になり過ぎて炭酸ガスが抜けていたが、この方法では高濃度の炭酸泉温泉が楽しめるようになる」と話す。

 筑後商工会議所は「炭酸泉の効能を生かした療養型の温泉地を目指したい」と期待している。

 九州では2007年に「日本一の炭酸泉」宣言をした長湯温泉(大分県竹田市)が有名。35軒前後の温泉施設が並び、加熱せず16~24度の源泉のまま炭酸泉を利用する施設が多い。

 長湯温泉源泉かけ流し協会の首藤文彦会長(51)は「炭酸泉は源泉のままでも楽しめるが、温度を上げても炭酸泉として活用できるのであれば良い取り組みだ」と注目している。(鶴結城)

 ◆炭酸泉◆

 正式には二酸化炭素泉。環境省の指針では1リットル中1000ミリ・グラム以上の炭酸ガス(二酸化炭素)を含むものを指す。財団法人・中央温泉研究所(東京)によると、国内約2万本の全源泉のうち約0.2%。血行を良くするほか、心臓病、糖尿病などに効果があるとされる。

【写真】福岡県筑後市・船小屋温泉の炭酸ガス濃度を調べる久留米高専の伊藤科長(左端)ら

(2009年6月11日00時56分 読売新聞)
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by mo_gu_sa | 2009-06-11 00:56 | 福岡


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