http://mainichi.jp/area/kumamoto/news/20090424ddlk43040629000c.html
◇源泉の集約化や森林・水田整備を 25日の「SL人吉」運行開始を「観光客を増やす100年に一度の好機」(田中信孝人吉市長)とみる人吉市。大小45の浴場それぞれが源泉を持ち、異なる泉質を楽しめる人吉温泉は大きな「売り」の一つだが、一部で湯量減少や温度の低下など“異変”が起きている。貴重な観光資源の実態を調べた。【高橋克哉】 ■老舗の閉店 人吉市宝来町で約80年続いた公衆浴場「川端温泉」が3月15日、客数減少に湯量減少と水温低下が重なる「三重苦」で休業に追い込まれた。3代目の山口真一さん(67)は「毎日来るお年寄りのために頑張ってきたが、貯金が底を尽きて限界になった」と寂しげに語る。 山口さんによると、川端温泉は87年ごろには年間1000万円の売り上げがあった。しかし、バブル経済期の80年代終わりに竹下内閣の「ふるさと創生事業」で周辺自治体が相次いで大規模な温泉センターを整備。川端温泉の客数は減少に転じ、売り上げは20年で半減した。さらに、05年ごろから湯量が4分の1に減り、水温も42~43度から30度台後半に低下。二つあった浴槽を一つに減らしボイラー加温で対応したが、07年冬は燃油高騰で「1日ごとに5000円ずつ赤字が増えた」という。 本来なら湯量が減少しても、新たなボーリングで泉源を掘り当てれば対応できる。だが、人吉温泉の現在の深度は約500メートルあり、新しく掘るには約1500万円が必要。山口さんは「民間の経営努力も限界。公衆浴場を観光資源として活用するのなら、行政支援が必要」と訴えるが、市に支援制度はない。 ■新規掘削が増加 07年に市の委託で人吉温泉を調査した日本地質学会員の岩内明子さんは湯量減少、水温低下について「泉源増加による過剰くみ上げが原因」と指摘する。 県や市によると、85年ごろまでは年間1~2件だった人吉球磨地方の新規掘削件数は、「ふるさと創生」や温泉ブームの到来で89年5件、91年8件と増加。人吉温泉の湧出(ゆうしゅつ)量も89年の毎分3000リットルから05年には同6000リットルに倍増した。 新規掘削には県の許可が必要で、自然科学系の研究者らで構成する県環境審議会温泉部会で審議される。しかし委員経験者の一人は「県の内規で定めた条件をクリアすれば許可する仕組みで、地域全体の温泉資源のあり方を幅広く検証し、指摘する組織ではない」と語る。 岩内さんは人吉温泉の構造について「球磨川上流の森林や水田で涵養(かんよう)された水が地下で熱せられるので、くみ上げ量が(地下への)流入量を上回れば水量減少と水温の低下は必然的に起こる」と指摘。その上で「湯量減少、水温低下は全国の温泉地が抱える問題。関係者が源泉の集約化(分湯)や地下水涵養のための森林・水田整備などに取り組めば、人吉温泉の活路が見えてくるのではないか」と話している。 毎日新聞 2009年4月24日 地方版
by mo_gu_sa
| 2009-04-24 16:00
| 熊本
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