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「温泉に入れる」人工乳房、脚光 乳がんで切除した妹の言葉契機に

http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20090308/CK2009030802000028.html「温泉に入れる」人工乳房、脚光 乳がんで切除した妹の言葉契機に_e0113829_0193897.jpg

 「乳がんで乳房を失った人のために」-。人工乳房を受注製作する名古屋市名東区の「ウロメディカルジャパン」に、注目が集まっている。2月には、名古屋の次世代を担う中小企業を選ぶ「N-1グランプリ」でグランプリに輝いた。

 人工乳房を開発したのは、社長の池山紀之さん(51)。15年前に乳がんで乳房を失った妹(48)の言葉がきっかけだった。

 池山さんは10年ほど前、妹や母親とともに温泉旅行に出かけた。その帰り道だった。「温泉はどうだった」と尋ねると、妹から思わぬ返事が返ってきた。「入れるわけない」

 乳房を失った女性は、母親に体を見られることを嫌がる例が多いのだ。もともと、人工の鼻や耳を作る仕事にかかわっていた池山さん。妹の話を契機に、「乳房もできるのでは」と、2001年に開発を始めた。

 妹からの助言は「服を着て外から分からないこと」「普通のブラジャーを着けられること」「人工乳房を使ったままで温泉に行けること」の3点。

 まず立ちはだかった壁は2点目の助言。ブラジャーに入る乳房の形が分からなかった。通信販売を活用し、ブラジャーを手に入れ、研究した。

 下着売り場にも何度も足を運んだ。店員が来て怪しまれるまでの20-30分、ブラジャーの形を観察した。

 次の課題は取り付け方法。温泉でも取れず、肌への負担も少ない医療用の接着剤を活用した。そうして05年夏、人工乳房は完成した。

 素材は肌の質感に近いシリコン。最初の相談から約1カ月で出来上がる。購入者の肌の色に合わせて着色してあり、一目では人工と気づかないという。

 購入者は「子どもとお風呂に入りたい」「温泉旅行に行きたい」と、池山さんの元を訪れる。実際に人工乳房を装着すると、大半が涙を流す。

 妹と母親の温泉旅行は07年に実現。池山さんは「2人は最近、頻繁に温泉に出かけるんですよ」と話す。値段は28万5000-88万円。(問)ウロメディカルジャパン=電052(776)6918。

 (中村禎一郎)

【写真】人工乳房を開発した池山さん=名古屋市中区栄で
by mo_gu_sa | 2009-03-08 17:20 | 温泉一般


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