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スリル 中高年の心結ぶ 「日本一」外国人も集客 “夢”大吊橋230万人魅了

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/oita/20071029/20071029_001.shtml

 人口1万1000人の大分県九重町に誕生した「九重“夢”大吊橋(おおつりはし)」が30日に開業1周年を迎え、年間集客数は230万人に達する見込みだ。その吸引力は大型テーマパークにも匹敵し、九州観光の新たな目玉になった。予想をはるかに上回った人気の秘密は何だったのだろう。専門家の分析を交えながら考えてみた。 (玖珠支局・城戸聡志)

■滞在型観光づくり課題

 「橋が揺れたとき、思わず主人の手を握りました」。夫にせがんで初めてやって来たという大分市の主婦(62)は顔を赤らめた。一方、福岡市の無職男性(67)が大吊橋を訪れたのは2回目。「最初は子どもと孫を連れ、にぎやかな旅行でしたが、妻と2人、のんびり時間を過ごすのも悪くない」

 大吊橋で目立つのは中高年の夫婦や家族連れ。町が実施したアンケート調査でも、年齢層では60代(26%)が最も多く、50代(20%)、70代(16%)と続いた。

 立教大の橋本俊哉教授(観光行動学)はこうみる。「風や人の動きで揺れ、高所にある大吊橋の上では、人はドキドキして一種の興奮状態に陥る。ジェットコースターに乗った時と同じ感覚で、一緒にいる異性がより魅力的に映る。熟年離婚などが増える中、スリルに満ちた大吊橋は、中高年カップルや家族の心を結び直す場所になっているのではないか」

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 一帯では今年夏ごろから、韓国語や中国語が聞かれるようになった。

 九州を訪れるアジアからの観光客は年間約60万人で増加傾向にある。福岡市から観光バスに乗り、太宰府天満宮、九州国立博物館(福岡県太宰府市)に立ち寄り、ハウステンボス(長崎県佐世保市)、別府、湯布院(大分県)などに向かうのが主流だった。しかし、最近では大吊橋を組み込んだ周遊ルートが人気コースになりつつある。

 そこで専門家が指摘するのが「最優価値論」。「高さが日本一の富士山はみんな知っているが、二番目は知らない」。同大吊橋は歩行者専用橋としては、長さ(390メートル)、高さ(173メートル)とも日本一を銘打っており、外国人客にも分かりやすい魅力になっているようだ。

 西南女学院大の名児耶亮教授(観光学)は「韓国では今、ゴルフブーム。一帯にはゴルフ場も多く、温泉観光とも組み合わせ、アジアからの観光客を呼び込む装置としても期待できる」という。

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 一方、大吊橋の開業後、町内の温泉旅館やホテルは2、3割の宿泊客増加にとどまり、やや当てが外れた。

 九州産業大学の千相哲教授(観光学)は「バブル経済崩壊後、観光客の多くは宿泊旅行を控え、日帰り旅行の回数を増やす傾向にある」。観光バスの運行が2000年、免許制から許可制へと規制緩和されたこともあり、休日には100台以上のバスが乗り入れることもあるが、その多くが九州各地からの日帰り客。四季折々に変化する景観の魅力も手伝い、リピーター(再訪者)も多い。

 各地の大吊橋は開業時をピークに、集客数が減少する傾向にある。同町は2年目の集客も「100万人は下らない」と予想しているが、坂本和昭町長は「通過型ではなく、滞在型の観光地づくりに向け、これからが正念場だ」と話している。

=2007/10/29付 西日本新聞朝刊=
by mo_gu_sa | 2007-10-29 11:23 | 大分


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