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明日へつなぐ<石見活性化企画> : 第10部・石見のいで湯(6) 旭温泉(浜田市旭町木田)

新泉源発見地域振興に光
http://www.sanin-chuo.co.jp/edu/modules/news/article.php?storyid=530507243明日へつなぐ<石見活性化企画> :  第10部・石見のいで湯(6) 旭温泉(浜田市旭町木田) _e0113829_22284436.jpg

 昨年末、浜田市旭町木田にある旭温泉街(宿泊、入浴施設4軒)の外れで、新たな泉源が見つかった。地下1200メートルから湧き出た湯は、湯量、湯温とも既存泉源を上回った。地元関係者に、安堵(あんど)と、豊富な湯を使った地域振興への期待感が広がった。

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 肌にまとわりつくような柔らかな湯が特徴の旭温泉は、旧旭町がまちづくりの起爆剤として、1977年に開発。

 毎週日曜日に温泉街の一角である朝市、9~11月にかけ、旧旭町内の11社中が日替わりで出演する毎週土曜の夜神楽など、10年以上前から地元住民が手づくりのもてなしを続けてきた。

 2008年からは、秋の行楽シーズンに合わせて夜神楽の毎日公演も開催。これらの取り組みが奏功し、年間の延べ入り込み客数は06年の7万人を底に回復基調となり、10年には7万8千人となった。

 市旭支所産業課の田村邦麿課長は「冬のスキー、秋の梨と並ぶ、旭にはなくてはならない観光資源」と、旭温泉の重要性を指摘する。

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 しかし、旭温泉の将来について近年、一部の関係者に不安感が芽生えつつあった。

 当初、泉源の湯温は30・7度だったが、04年の調査では27度に低下、温泉成分のフッ素イオン濃度も下がったからだ。

 温泉法の定める温泉は、泉源の湯温25度以上か、19種に及ぶ温泉成分の含有量規定を最低一つはクリアする必要がある。

 現状では条件を満たしているうえ、条件を満たさない〝自称〟温泉でも罰則規定はないが、数値低下が進めば国のお墨付きが得られず、関係者は他の温泉との競争力低下を危惧。温泉街にとって死活問題にもなりかねなかった。

 これを受け、市は1億円以上を投じて新泉源を開発。新泉源の湯温は04年の調査時より7・8度高い34・8度で、1分当たりの最大供給量は倍以上の200リットルになる見通しだ。

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 湯温の上昇は、各旅館で加温に使う燃料代の節約につながり、旭温泉の関係者を喜ばせた。関係者は泉源開発を機に、温泉街の活性化と温泉の活用に向けた新たな一歩を踏み出そうとしている。

 旭温泉旅館組合は、リピーターの確保に向けて温泉街にある4軒の入浴、宿泊施設を巡ることができる「温泉手形」を企画、近く運用を始める。

 9月をめどとする新泉源からの温泉供給開始に向けても、旅館組合と石央商工会、市旭支所がスクラムを組み、イベント開催などのアイデアを練っている。

 市は老朽化した公設民営の入浴施設・あさひ荘の新築を計画し、12年度から設計に着手する考えだ。

 同組合の郷田隆行組合長は「入浴客に旭温泉の良さを実感してもらい、ファンになってもらえるような仕掛けをつくりたい」と意気込む。

 観光分野以外でも、農業ハウスでの加温や養殖など、温泉水の二次利用を模索する動きもある。開発から35年。旭温泉は、山あいのまちに新たな活性化の可能性を投げかけている。

【写真】新泉源の湯の感触を確かめる旭温泉旅館組合の郷田隆行組合長(左)=浜田市旭町木田

 =第10部おわり=

 浜田市内の温泉 美人の湯で知られる金城町の美又温泉は入浴・宿泊施設が10軒あり、温泉街の再開発が進行中。このほか、金城町には湯屋温泉(2軒)と波佐小国温泉(1軒)があり、三隅町にはコワ温泉(1軒)がある。
by mo_gu_sa | 2012-02-20 00:00 | その他


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