http://mainichi.jp/area/oita/news/20110205ddlk44040477000c.html
◇「別府の中心」支えた湯 温泉道名人を目指した時から、ゴールは竹瓦温泉と決めていた。温泉を思うまま選んで入るのは87湯目の今回が最後だ。4~5カ所見て回り長女日向子(5)が「ここがいい」と言うので、永石温泉に出かけた。 1962年に当時の長老が思い出しながら描いた1900年ごろの南町界わい図によると、永石温泉の敷地は、かつて警察の「別府分署」だった。跡地に有志が温泉を掘り、活用方法を思案していたら、ある時、誰かによって一夜にして小屋が建てられ入浴できるようになったと伝えられる。こうしたいきさつから「一夜温泉」とも呼ばれた。 今の建物は91年に改築された風情のある木造建築。その番台の上には32年に撮影された「一夜温泉初浴式」と添え書きされた古い写真が掛けられている。 この辺りは、かつて旅館や商店、映画館、市役所などが立ち並ぶ別府の中心部だった。温泉の向かい側で58年からオリオン美容室を経営する佐藤真美さん(76)は「そりゃあにぎやかだった」と話す。芸子さんやクラブに勤める女性の住民も多く、午後ともなると美容室には永石温泉に入浴した後、髪を結う女性がずらりと並んだ。 浴槽の湯は結構熱く、壁向こうの女湯から長男裕紀(2)の泣き声が聞こえてきた。だが、日向子はきっぱり言い切った。 「これぐらいの熱さで入れんかったら、最後のお風呂には入れんでぇ」 ◇ ◇ 名人をめざした日向子と筆者の湯めぐりの旅も残り1湯。最終回は2月19日掲載予定です。【祝部幹雄】 ============== ◇永石温泉(南町) 敷地内にある単純泉の源泉2本を使った市営温泉。営業時間は午前6時半~午後10時半。小ぶりながらも寺院を思わせる木造の建物が特徴。入浴料100円。年末の大そうじ日以外は年中無休。問い合わせは0977・26・5789。 毎日新聞 2011年2月5日 地方版
by mo_gu_sa
| 2011-02-05 00:00
| 大分
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