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佐賀・嬉野温泉 進むバリアフリー 心も温まる、人に優しい町

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 美肌の湯で知られる佐賀県嬉野市の嬉野温泉がバリアフリー化に取り組んでいる。こうした動きは全国の温泉郷や観光地に拡大中で、新たな顧客層獲得の道としても期待がかかる。

 「もう無理かなと思っていた温泉に母を連れて来られて、本当にいい時間でした」。佐賀県伊万里市の井之一行さん(64)らきょうだい3人は感慨深げだ。外出好きだった母親の静さん(88)は約1年半前に病気を患って車いす生活となり、老人施設で暮らす。久しぶりの温泉に「楽しかったし、お酒もおいしかった」とほほ笑んだ。

 嬉野ではひところ改装中の旅館が目立った。3月末までに14旅館20部屋が、床の段差をなくすなどしたバリアフリールームに模様替え。風呂付きの部屋も増え、通常の料理を食べられない人には刻み食を提供する。一部旅館は一般的な部屋とほぼ同レベルの料金に抑えた。

 温泉街入り口には情報センターを設置。スタッフが常駐し、観光客に情報などを提供する。「一人一人の要望に合わせた対応」(同センター嶋原哲也事務局長)をモットーに、目や足となって旅を支援する。

 嬉野の取り組みは、先進的な三重県伊勢志摩の取り組みを視察したことが直接の契機となった。2005年、同県鳥羽市を中心とするエリア内で乗り捨てできる無料貸し出し車いす「どこでもチェア」や、障害のある人々と自然に接するスタッフらを目の当たりにして「嬉野を日本一のバリアフリーの温泉街に」という熱意が広がった。

 伊勢志摩では、従来と違う視点で観光再生しようと、02年に情報センターを設置した。バリアフリーを新たな市場ととらえ、旅館のほか伊勢神宮や鳥羽水族館などの観光施設でも態勢整備。センターの中村千枝さんは「情報拠点をつくったことで観光客が増え、客の声が集まった結果、対応が進んだ。育ててもらったのはこちらの方だ」と話す。

 同様の取り組みは、松江や福島、神戸各市のほか、北海道知床や鳥取、熊本、沖縄各県などでも続々と広がっている。

 嬉野温泉の場合、18年開業を目指す九州新幹線長崎ルートの新駅設置を視野に地域振興につなげたい思いもある。ただ、それ以上に「施設などハードの整備後は、迎え入れる心や気遣いなどのソフト面も強化し、人に優しい町を実現したい」(嬉野市地域づくり課の井上親司副課長)という。
by mo_gu_sa | 2010-04-03 05:00 | 佐賀


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