http://mainichi.jp/select/opinion/yoroku/news/20090919k0000m070117000c.html
「日本人はヨーロッパ人の肌が耐えられない温度のお湯に平気でつかる。風呂は、卵をゆでる温度に近い。それで気分がさっぱりするという」。明治時代に温泉地を旅行した英国人牧師トマスは湯の熱さに驚いた▲幕末から明治に来日した欧米人は温泉地を見てまず混浴の習慣に顔をしかめた。そして日本の風呂の熱さに仰天している。だがやがて日本人と一緒に入浴するさばけた外国人も現れた。日光の温泉でコトーという仏国人は次のように記した▲「間もなくいろいろな人、男性も女性も一緒に入ってきた。皆に大変温かくもてなされ、皆が私の世話をしようとし、私が浴槽から上がったり入ったりする時に手を貸し、ほほえみながら話しかけてくれた……本当に気持ちの良い人々だ」▲神崎宣武さんの「江戸の旅文化」(岩波新書)からの孫引きだが、当時の温泉の和気あいあいの様子がうかがえる。「上は王侯より下庶民に至迄(まで)湯治すること今に盛也(なり)」は江戸時代の旅指南「旅行用心集」の一節だ。欧米人には熱い湯が心と体にうれしい日本人の温泉好きである▲きょうから始まる秋の5連休シルバーウイークで、景気低迷や冷夏による観光客の出足低調に苦しんだ旅行業界や観光地が久々に活気を見せているようだ。全国の温泉地も最近になく好調な予約状況だそうで、早々と満室になった人気旅館でもなお問い合わせが続いているという▲シルバーウイークの命名は敬老の日をはさむためともいわれるが、お年寄り孝行で温泉に行く方も多かろう。夏の名残の疲れやざわつく気分に区切りをつけられるこの連休、湯治には行けずとも心身のリフレッシュに活用したい。 毎日新聞 2009年9月19日 0時00分
by mo_gu_sa
| 2009-09-19 00:00
| 温泉一般
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