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雲仙・普賢岳:企画 6・3大火砕流から18年「世界」認定にかける 島原半島ジオパーク< 上 >

半島内ツアー活発化 市民ガイド“火山と共生”発信
http://www.nagasaki-np.co.jp/press/fugen/0901/01.html雲仙・普賢岳:企画 6・3大火砕流から18年「世界」認定にかける 島原半島ジオパーク< 上 >_e0113829_14145687.jpg雲仙・普賢岳:企画 6・3大火砕流から18年「世界」認定にかける 島原半島ジオパーク< 上 >_e0113829_14125537.jpg

 43人が犠牲になった雲仙・普賢岳噴火災害の大火砕流惨事から6月3日で丸18年。被災地の島原市では昨年、市の機構から「災害」の文字が消え、復興に尽力した吉岡庭二郎前市長も退任、一つの節目を迎えた。島原、雲仙、南島原3市は“火山との共生”を柱にすえた「島原半島ジオパーク」を推進。国内第一号となる世界ジオパークの認定を目指す。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の現地視察を目前に控え、佳境を迎えた取り組みと市民らの思いを紹介する。

 「ここの地層は9万年前に起こった阿蘇の大火砕流の堆積(たいせき)物なんです」。5月10日にあった島原半島ジオツアー。原城跡(南島原市南有馬町)で市民ボランティアガイドが、これまで学んできた成果を披露した。島原の乱など地域の歴史も交えた説明に、参加者らは興味深く耳を傾けた。

 島原、雲仙、南島原3市が進める「島原半島ジオパーク」。昨年秋、第一号の日本ジオパークに認定された。半島内の地質学的見どころを巡るジオツアーが活発に行われている。

 ジオパークを浸透させ、観光、教育への活用を図るには、その魅力を分かりやすく伝える市民ガイドが不可欠。島原半島ジオパーク推進連絡協議会(会長・横田島原市長)は昨年秋から、全7回のガイド養成講座を開講。市民97人が登録し、うち5回以上受講した51人が修了証を受けた。

 ガイドの一人が、元高校の地理教諭だった満行豊人さん(71)=島原市小山町=。37年間の教員生活のうち26年間、島原農高など島原半島内の高校で教壇に立った。1990年11月に始まった噴火災害当時は、南島原市の旧有馬商高に勤務。噴火を記録に残すため、普賢岳ふもとの垂木台地や水無川などに足しげく通い、山の撮影を続けた。

 91年6月3日。自宅に戻ってテレビのニュースを見ると、火砕流に遭い、灰まみれで苦しむ消防団員の姿が目に飛び込んだ。島原農高で初めて担任を持った時の教え子、大町安男さん=当時(37)=だった。

 大町さんはまじめで芯の強い性格だった。そのクラスはまとまりが強く、卒業式の2日後、普賢岳に登山。肩を組んで歌い、将来の夢を語り合った。大火砕流の犠牲者には、大町さんも含め、島原農高時代の教え子が6人いた。古里を懸命に守り続け、志半ばで亡くなった教え子たちを思うと胸が締め付けられた。

 2005年から雲仙岳災害記念館(島原市)の語り部ボランティアになり、噴火災害の実相を来館者に伝えている。ジオガイドの養成講座にも毎回、積極的に参加。講座の学習だけでは飽き足らず、受講者らと自主的に勉強会を開いたり、火山灰が積もった地層の標本づくりも手掛ける。

 「訪れた人に島原の素晴らしさを伝え、『来てよかった』と感じてほしい。そして、火砕流で亡くなった彼らや、残された家族にも思いをはせてもらえれば」と語る。

 長期の噴火災害に苦しんだ島原半島の市民。災害から復興した今、火山と共生する地域の魅力を世界へ発信しようとしている。

 ◎メモ/ジオパーク

 科学的に見て特別に重要で貴重、あるいは美しい地質遺産を複数含む自然公園。保護が主目的の世界遺産と異なり、観光や教育などの振興にも重点を置く。ユネスコが支援する世界ジオパークネットワーク(GGN、パリ)には現在、中国や欧州など18カ国58カ所が登録。島原半島のほか、洞爺湖有珠山(北海道)、糸魚川(新潟)の3地域が国内第一号の認定を目指し、登録を申請している。

【写真】島原半島ジオツアーで、市民ガイドの満行さん(右)から噴火災害当時の状況を聞く参加者=島原市南千本木町

2009年6月2日長崎新聞掲載
by mo_gu_sa | 2009-06-02 00:00 | 長崎


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